一昨日は横浜国立大学の卒業設計の審査会であった。昨日一日出張で報告が遅くなった。
当日、ほぼ丸一日をかけ19点が公開で審査された。会場には多くの学生が参加した。こうした公開の場で多くの教員によっていわば講評をしていく中で評点を決める仕組をとっている大学は少ないのではないか。審査は非常勤講師を含む関係する教員全員によって行われ、採点の持分は当然だが全員が平等にもつ。今回採点に加わった教員は21人であった。
学生の発表の後、様々な批評コメントを21人から受ける。延々夕刻までそれが続き、その後各人の評点が集計されることとなる。教員は最終の集計にいたるまでの間にホールの外に置かれたそれぞれの作品につき再度個別に質問を行い、感想を学生個々と応答しつつ評点を修正をし提出する。その後会場におおきな四角いテーブル席をしつらえられそこで集計結果が配られる。その中、上位数人の中から「吉原賞」一名ほか各種卒業制作展などへの出品昨品が選出される手順である。自ずから得点の高い者の中からの選定にはなるのだが様々な角度からの評価がありその応答が作品を擁護、問題の指摘となる。
今回は京浜運河の工業地帯のリノベーションを主題とした安藤君と群馬県央の巨大な工場敷地のこれもリノベーションをテーマとした田中君の二作品が高得点であった。横浜港周辺の水辺を敷地に選ぶものが毎年必ずあるのは横浜国立大学ならではであるし安藤君もその例に漏れない。それに比べ群馬の巨大な工場を敷地とする着眼は予想を超えていた。これらが高い評価であったことはとりわけ計画のプログラムに説得力を感じたからに他ならない。同様に説得力のあるプログラムを萩の市街地に空白として存在する空地を様々なコミュニティの場とする近藤君の作品、中野の木造密集地域に一定のルールを提案する石井君の作品にも見ることが出来た。このほか高速道路のサービスエリアの地域とのコネクションを通じ新しい意味を持つものとする高橋君の作品などに高い評価があった。ほぼ同等の特に高い評価を得ていた上記二点のうち安藤君を「吉原賞」とすることで長い審査は7時過ぎに決着した。毎年のことだが横浜をフィールドとする提案が目に付き、また数年来の傾向とつながる平準化?マンネリ化が感じられないこともない。造形の安直さ?も気になる。大学も大きく変化をし始めるようだ。私はあと三年教えることになる。計画の説得力を一層望みたいと思う。(野沢)
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